Research

 人間のからだでは数万種類のタンパク質が作られた後、そのはたらきが緻密に制御されることによって多様な細胞群を作り出したり、迅速かつ柔軟な環境応答を可能にしています。このような制御には多くの場合、翻訳後修飾という可逆的な化学修飾が用いられており、リン酸化、メチル化、アセチル化等が代表的です。 2001年、細胞分裂の基本的な仕組みを解明した功績により、L. Hartwell博士、 P. Nurse博士、T. Hunt博士の三者にノーベル医学生理学賞が授与された。彼らをはじめとする多くの研究者たちによって、それまで現象の記述・解析が主流であった細胞分裂研究に、遺伝子やタンパク質といった化学の言葉で理解する為の理論的基盤が与えられました。 それ以降、細胞周期はCDK(cyclin-dependent kinase)というリン酸化酵素の活性変化により、数百あるといわれているCDK基質のリン酸化状態を変化させることで進行すると考えられてきました。しかし、我々はCDKに拮抗する脱リン酸化酵素活性を同定(PP2A-B55)し(図1)、さらにこの二つの酵素間に密接な連係システムが存在すると考えています(図2)。

 
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例えば、基質タンパク質をリン酸化すべきとき、最も効率の良い方策は「1、リン酸化酵素を活性化」し、「2、脱リン酸化酵素を不活性化」することです。実際に細胞内では互いに拮抗する酵素対が、相互に連係をとる仕組みがあることが分子レベルで明らかになりました(図2)。この進展には、脱リン酸化酵素の生化学的解析が鍵となり、それは当研究室の強みでもあります。

 
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 当研究室では、主に生化学的手法とアフリカツメガエルの卵抽出液を用いて(図3)、細胞分裂周期を駆動するメカニズムの解明を目指しています。

 
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